このページではエレメント・コミュニケーション英語3年/レッスン5【Praying Hands】の和訳を載せていますが、学校で習う表現と異なる場合がありますので、参考程度に見てください。
【ELEMENT3】Lesson5/Praying Hands【和訳】
Part1
15世紀にさかのぼって、ニュルンベルクの近くの小さな村に、18人の子供がいる一家が住んでいました。
なんと18人です!
この家族の食卓に食べ物を運んでくるためだけに、職業が金細工師だった一家の長であるパパは、本職と、それ以外でも近所で見つけられる収入につながる仕事なら何でもこなし、1日18時間近くも働きました。
Part2
見たところ何の希望もない状況にもかかわらず、年長の男の子のうち2人、アルブレヒトとアルバートには夢がありました。
2人とも芸術の才能を追求したいと思っていました。
しかし金銭的な理由で、美術学校で勉強するためにパパが2人をニュルンベルクに送り出せないだろうということは、2人にはよくわかっていました。
Part3
いっぱいの寝床の中で夜、何度も何度も長い間話し合った結果、2人の男の子はついに、取り決めを結びました。
コインを投げることにして負けた方が近くの鉱山に入り、稼いだお金で兄弟が美術学校に通うのを支え、それからコイントスに勝った兄弟は4年で勉強を終わらせて、美術作品を売ったお金か、もし必要なら同じように鉱山で働くかどちらかで、もう1人の兄弟が美術学校で支えようというのです。
Part4
日曜の朝、教会に行った後で2人はコインを投げました。
アルブレヒト・デューラーがコイントスに勝って、ニュルンベルクに行きました。
アルバートは危険な鉱山に入って、次の4年間お兄さんを支えました。
アルブレヒトのアカデミーでの活動は、ほとんどすぐに大評判になりました。
アルブレヒトの美術作品は、ほとんどの先生たちの作品よりずっと優れていました。
卒業までには、作品でかなりの金額のお金を稼ぎ始めていました。
Part5
若い芸術家が村に帰って来たときに、デューラーの家族は、アルブレヒトの帰郷を祝って、盛大な晩さん会を開きました。
音楽や笑い声のあふれる、長くて印象的な食事の後で、アルブレヒトは食卓の上座の主賓席から立ち上がって、アルブレヒトに夢を実現させてくれた4年間の犠牲を払ってくれた、最愛の弟に乾杯を捧げました。
アルブレヒトの締めくくりの言葉は次でした。
「そして、さあ、アルバート、僕の祝福されている弟、次はお前の番だよ。今度は、お前が夢を追求するためにニュルンベルクに行けるんだよ。僕がお前の面倒を見るからね。」
Part6
みんなの顔が、興味津々で食卓の下座に向けられました。
涙が顔を伝って流れ、うつむいた頭を左右に振りながら、そこにはアルバートがいました。
涙ながらに、何度も何度も「いや、駄目だ、違うんだ、無理なんだ。」と繰り返しながら座っていました。
ついに、アルバートは立ち上がって、両方の頬から涙をぬぐい、大好きな家族の顔を眺めて、長いテーブルの端まで目をやりました。
それから、両手を右の頬の近くに持って行ったままで、優しい声でこう言いました。
「出来ないんだよ、兄さん。僕はニュルンベルクには行けないんだ。遅すぎたんだ。見てよ、鉱山での4年間が僕の両手に何をしてきているのかを見てよ!どの指も、少なくとも1度は骨折したことがあるし、最近では、右手のとてもひどい痛みに苦しんでて、兄さんの乾杯のお返しをするためにグラスを持つことさえできないんだ。まして、ペンや筆で絵の繊細な線を描いたりはできないんだよ。無理なんだ、兄さん、僕には遅すぎたんだ。」
Part7
450年以上が経っています。
今では、アルブレヒト・デューラー作の肖像画、スケッチ、水彩画、木版画といった美術作品のうち数百点が、世界中のあらゆる立派な美術館に飾ってあります。
しかし、ほとんどの方と同じようにみなさんも、アルブレヒト・デューラーの作品のうち1つだけはよくご存じでしょう。
ただ単に、よく知っているという以上に、きっと自宅や職場に複製を飾ってあることでしょう。
Part8
アルバートが犠牲にしたすべてに対して、アルバートへの尊敬を表わすために、ある日、アルブレヒト・デューラーは、手のひらを合わせ、細い指が上に向かって伸びている、弟の傷ついた手を丹念に描きました。
アルブレヒトは、この力強い絵をただ『手』とだけ呼んだのでした。しかし、全世界はほぼ即座にこの偉大な傑作を歓迎し、この作品を『祈る手』と名前を付けかえたのです。
Part9
その感動的な創作の複製を次に見るときには、もう一度見つめ直してください。
まだ必要とあれば、この絵を教訓にして、誰も、誰一人として今までにそれを一人で成し遂げた人はいないということを忘れないようにしてください。
みなさんが今いるところまで、みなさんがたどり着けるように助けてくれている方々に、心から感謝するのを忘れないでください。