このページではエレメント・コミュニケーション英語3年/レッスン1【A Small Crime】の和訳を載せていますが、学校で習う表現と異なる場合がありますので、参考程度に見てください。
【ELEMENT3】Lesson1/A Small Crime【和訳】
Part1
彼が9歳のとき、まるで逃げさせないように腕をつかんでいる警察官によって、玄関に連れて来られました。
地下鉄の駅の壁にクレヨンで書いているところを捕まって、彼の両親は彼をしつけることが期待されていました。
その日の残りは全部、自分の部屋にいて、父親がシャツ工場から帰宅するのを待っていました。
「顔を叩かれるのかなあ。ひょっとして、それだけじゃないかもしれない。」と、彼は考えていました。
それから、もしかしたら来週のお小遣いは無いかもしれません。
それでも、心配しないではいられませんでした。
Part2
5時半に玄関のドアが開くのが聞こえました。
ママがパパに話していました。
2人は長い間、話しをしました。
2人は彼が必要だと感じたのよりずっと長い間、話しました。
それから家族は夕食をとりました。
彼は呼ばれませんでした。
罰はもう始まっているんだと感じました。
このことでものすごく悲しくなりました。
パパと夕食をとりながら、その日あった面白い出来事を話すのを楽しみにしていたからです。
漫画を読みながら夕食の時間が終わるのをやり過ごそうとしましたが、気になって、最初から最後まで読み終えることはできませんでした。
7時に、家族が居間でくつろいでいるときに、テレビのスイッチが入るのが聞こえてきました。
ときどきチャンネルを変えていました。
8時半までにはすっかり日が暮れて、今までの人生で一番寂しい感じがしました。
部屋の後ろにある庭を眺めました。
おじいさんが1か月前に植えた若木の輪郭が見えました。
新しい葉が芽吹き始めていました。
そこで、この若い木は今年の夏に何枚葉っぱをつけるのか決めようとしました。
15枚に決めました。
こう考えると、気持ちが楽になりました。
9時までには眠くなってきて、ベッドで体を伸ばしていました。
Part3
その後まもなく、パパが部屋に入って来て、ベッドに腰を下ろしました。
男の子は起き上がって、ベッドの横から両足をたらしました。
パパは彼を見て、顔をそむけ、両手を組み合わせました。
2人は並んで座っていました。
男の子は、ずっと床を見つめていました。
Part4
パパがこう言いました。
「ルーマニアを出たときのことを思い出すよ。僕は町の駅に行って、国外へ移住予定の人専用の場所に座らなきゃいけなかったんだ。そこには他にもいっぱい座っている人がいてさ。今でも覚えてるよ。僕たちみんな同じように見えたのがおかしくってさ。一張羅を着て、服がぎっしり詰まってはちきれんばかりの古いスーツケース持ってさ。でも、とりわけよく憶えてるのは壁だったんだよ。駅のその場所に座ったことがある人は一人残らず、名前と、故郷の町と、これから向かう新しい場所を壁に書いているように思えたんだ。壁にあった名前を全部読むのに長い時間がかかったよ。多くの町の名前が表されていたよ。それに、以前友達だったたっくさんの人の名前にも気がづいたしね。それから、何をしたかわかるかい? ペンを取り出して、壁の空いている場所を見つけて、自分自身の名前と、故郷の町と、日付を書いたんだよ。でもね、わかってくれよ。いたずらで壁に書いたんじゃないんだよ。違うんだよ。あれは「これが今の僕です――今、古い人生にけりをつけて、新しい人生を始めるとこだ。」ということを表わす僕なりの方法だったんだよ。もしかして、お前もいつかおんなじ理由で書くかもしれないね。でも景気がよくて、僕たちがここで歓迎されている限りは、世界にお前が誰なのかを知ってもらう他のもっといい方法があるんだよ。」
Part5
パパは「心配いらないよ、うまく行くさ。」と言わんばかりに、男の子の肩に手を置きました。
それから、ゆっくり立ち上がって、こう言いました。
「ママと僕にはいい子でいるんだぞ。壁のことはそのままにしておけばいいさ。」
それから部屋を出て行きました。
Part6
男の子はベッドに仰向けになりました。
普段なら、眠りにつくのにはほんの2・3分しかかかりませんでしたが、その晩は、ほとんど30分近く、眠れないまま横になっていました。