エレメント 2年 和訳[337]

【エレメント2年】Lesson7/iPS Cells【和訳】

このページではエレメント・コミュニケーション英語2年/Leeson7【iPS Cells】の和訳を載せていますが、学校で習う表現と異なる場合がありますので、参考程度に見てください。

【ELEMENT2】Lesson7/iPS Cells【和訳】

Paragraph1

もしあなたが皮膚に深刻なやけどやけがをしてしまったら、医師はあなたの背中から健康な皮膚の一部を取り、けがをした部分にそれを縫いつけなければならないかもしれません。

しかし、再生医療と呼ばれる医療技術の発達のおかげで、近い将来、もはやあなたはどの皮膚でもあきらめる必要はなくなるかもしれません。



Paragraph2

今日、この分野では、信じられない数の調査研究が世界中で行われています。

科学者たちは、患者自身の体細胞から皮膚などの細胞組織をつくり出すための、より速くより安全な方法を考え出すために、非常に熱心に研究し、お互いに競っています。

Paragraph3

これまでのところ、この分野の先駆的科学者の1人は、京都大学の山中伸弥博士です。

彼はもともと、背中のけがや、骨折した手足や、損傷した関節などを治療する医師でした。

ある日、彼は関節に深刻な病気を持った女性に会いました。

彼女の関節が病気に感染し、腫れ上がって変形してしまっているのを見て、彼はとてもショックを受け、それで科学者になろうと決心しました。

彼は、こうした深刻な病気やけがに苦しんでいる患者たちを治すのによい方法を見つけるため、基礎研究を始めました。



Paragraph4

細胞組織をつくる方法の1つは、卵細胞を使うというもので、卵細胞は、髪や筋肉などの体の部位に成長する能力を持っています。

しかし、この方法は多くの議論を呼びました。

たとえ患者を治すことが目的であっても、生きた卵子を物として扱い、それらを「殺してしまう」ことを、多くの人々が間違ったことだと考えているのです。

その上人々は、この方法が人間のクローン化につながりかねないと恐れています。

Paragraph5

何年もの間、山中博士と彼の研究チームは、熱心に研究して、細胞組織をつくるための別の方法を発見しようとしました。

その後、2007年に、彼らはついに、患者の顔から採取した皮膚の細胞から心筋組織をつくることに成功しました。

彼らはまず、皮膚の細胞を、卵細胞に似た状態である、初期状態に戻すために、それに4種類の遺伝子を加えました。

それから、その細胞を心筋組織に成長させました。

彼らが見つけた4つの遺伝子は、今では「山中因子」と呼ばれており、200種類の細胞のどれにでも成長しうる初期化された細胞は、「iPS 細胞」と呼ばれています。

Paragraph6

この iPS 細胞は、損傷したり、状態のよくない体の部位にそれを移植することで、さまざまな病気やけがを治すために使える可能性があります。

例えば、損傷した心筋のせいで、心臓が正しく機能していなければ、医師はまず、皮膚のごく小さな部分を切り取ることによって体細胞を集めます。

それから、彼らはそれを iPS 細胞に変え、筋細胞に成長させます。

最後にそれを心臓に移植する、といったことをするでしょう。

Paragraph7

山中博士の発見は、再生医療の競争を激化させました。

実は、彼が2006年にマウスを使ってiPS細胞をつくるのに成功したとき、多くの外国の研究者たちが彼の方法に追随し、彼を追い越そうとしました。

例えば、山中博士が学術雑誌『セル(細胞)』で、ヒトiPS細胞についての研究を発表したのと同じ日に、ジェイムズ・トムソン博士という名前のアメリカ人研究者が、同様の論文を『サイエンス』に発表しました。

山中博士は、自分の研究をオンラインで発表することによって、なんとか第一発表者になることができました。

あと1日遅かったら、栄誉はトムソン博士に与えられていたでしょう。



Paragraph8

ほかの研究チームもまた、山中博士に迫っています。

例えば、2011年には、東北大学の出澤博士の研究チームが、ある特定の体細胞だけがiPS 細胞になれることを発見しました。

また同年には、慶應義塾大学の岡野博士が、細胞をさまざまな種類により速く変化させるための方法を発見しました。

iPS細胞ががん細胞に成長する可能性があると言う研究者もいますが、岡野博士の方法なら、それが避けられるかもしれないのです。

山中博士は、このような競争は、科学技術の実用化を待っている患者たちにとってはよいことだと言っています。

「患者を救うこと」が、常に彼のリストの最優先事項です。