エレメント 1年 和訳[339]

【エレメント1年】Lesson10/Playing the Enemy【和訳】

このページではエレメント・コミュニケーション英語1年/Leeson10【Playing the Enemy】の和訳を載せていますが、学校で習う表現と異なる場合がありますので、参考程度に見てください。

【ELEMENT1】Lesson10/Playing the Enemy【和訳】

Part1

1

南アフリカでの1995年ラグビー・ワールドカップ決勝戦は、世界の大部分の人々にとっては、最も興奮する国際試合の1つだった。

しかし、南アフリカ人にとってはそれ以上の意味があった。

国中のすべての、さまざまな人種の人々が、将来への大きな希望をもってその試合を見ていた。

かつて敵同士だった人々が、一緒になって自分たちの代表チームを応援していた。

2

南アフリカでは、アパルトヘイトと呼ばれるシステムのもとで、黒人が長い間差別されていた。

彼らはよい教育を受けたり、仕事を見つけたり、白人専用の特定の地域に住んだりすることができなかった。

その結果、この考えに反対する人々の数が、国内外で増えていった。

ネルソン・マンデラは、そういった人々の集団を率いているときに警察に連行され、刑務所に入れられた。

彼は、1990年にようやく解放されるまで、27年間小さな独房に拘束されていた。

3

マンデラは、1994年に南アフリカの大統領になった。

その同年に、アパルトヘイトは終わりを迎えた。

しかし、黒人は長年経験してきたつらい時代を忘れることができなかった。

その当時、白人は、黒人が自分たちに復讐してくるのではと恐れていた。

彼らは友人になるにはほど遠かった。実際、彼らは内戦のほんの一歩手前のところにいたのだ。

4

この問題を解決するべく、人々にお互いにより親密になってもらうために、マンデラはスポーツを利用できると考えた。

彼はラグビーを選んだ。

南アフリカでは、ラグビーは「白人のスポーツ」だった。

黒人は、南アフリカ代表チームのスプリングボクスをとても憎んでいたので、自国のチームではなく外国のチームを応援していた。

マンデラは、異なる肌の色を持つ人同士が一緒にスポーツをしたり、同じチームを一緒に応援したりすれば、もっと親しくなれるだろうと考えたのだ。



Part2

5

スプリングボクスのリーダーを務めていたピナールとほかの選手たちが、マンデラの考えを支持し、彼の言う「1つのチーム、1つの国」の意味するところを理解しようとした。

6

チームのメンバーは、マンデラが収容されていた監獄島へ旅行したときに、彼の気持ちがさらに理解できるようになった。

この島はまだ刑務所として使われていた。

選手たちは、マンデラがとても長い間滞在を強いられた独房を見学した。

彼らは一度に1人か2人ずつ独房に入った。

それ以上そこには入りきらなかったからだ。

その小さな部屋を見て、過去に白人が黒人に何をしたかを彼らは真に悟った。

7

マンデラの独房を見学した後、スプリングボクスの選手たちは、そこにいた囚人たちに会った。彼らは全員黒人だった。

囚人たちは、イギリスチームと対戦したスプリングボクスの試合をラジオで聞いていたと言った。

それを聞いて選手たちが、自分たちは今、国全体を代表しているのだと言うと、囚人たちは選手たちのために歌を歌い始めた。

囚人たちは、自分たちの敵を許そうとしていた。

しかしながら、多くの人々にとって、過去を忘れてチームを応援することは難しかった。

Part3

8

その雰囲気は、チームが次々に勝利するにつれて、次第に変わっていった。

ワールドカップの前はラグビーのルールを知りさえしなかった黒人が、白人とラグビーをすることに興味を示すようになった。

スプリングボクスがいいプレーをすればするほど、多くの黒人がラグビーをやり始めた。

ついには国全体が試合の行方を追い、スプリングボクスを応援していた。

ますます多くの人々が、新しい国旗を振り始めた。

それは、アパルトヘイトの本当の終わりを意味していた。

9

チームはついに、決勝戦でニュージーランドのオールブラックスと対戦した。

試合が始まる5分前、ネルソン・マンデラが選手たちと握手をしに競技場に出てきた。

彼は、スプリングボクスの緑の帽子とユニフォームを着ていた。

彼を見たとき、人々はしんと静まりかえった。

それから詠唱が始まった。

最初は小さい声だったが、声はすぐに大きく激しくなった。

白人の群衆が1つの国として、「ネル・ソン! ネル・ソン!」と何度も何度も繰り返し詠唱し始めたのだ。

それは魔法のような瞬間だった。



Part4

10

その試合を人々の記憶に残るものにするために、スプリングボクスは試合に勝たなければならなかった。

前半40分が終わったときの得点は9対6で、南アフリカが優勢だった。

しかし、後半でオールブラックスが得点し、通常のプレーは9対9の同点で終了した。

ラグビー・ワールドカップ史上初めて、試合は前後半10分ずつの延長戦へともつれこんだ。

体力的にも精神的にも選手たちはとても疲れていたが、ピナールはチームメイトに言った。

「周りを見てくれ。あの旗が見えるだろう? あの人たちのために戦おう。

おれたちは南アフリカのために、やらなきゃならないんだ。」

試合終了の6分前、南アフリカはついにドロップゴールを決め、それが勝利へとつながった。

11

テレビのレポーターが、競技場にいたピナールのもとへやってきてたずねた。

「このスタジアムで6万2000人のファンに応援される気分はどうでしたか?」

12

ピナールは答えた。

「応援してくれたのは6万2000人のファンではありません。4300万人の南アフリカ国民です。」

スタジアムには古い国旗は1つもなかった。

みんなが涙を流しながら新しい国旗を振っていた。