旧CROWN 3年 和訳[305]

【クラウン3年】Story1/Flying【和訳】

このページでは高校クラウン・コミュニケーション英語3年/Story1【Flying】の和訳を載せていますが、学校で習う表現と異なる場合がありますので、参考程度に見てください。

【CROWN3】Story1/Flying【和訳】

p42-43

娘のジュディスが飛行機のドアの取っ手をオモチャにしていました。「触っちゃだめだよ。いい子だから。どんなことになるかわかんないよ」 突然、ドアは消え、娘は外を飛んでいました。「ジュディス」と叫ぶと、空中に運ばれながら、ひどくおびえてこっちを見ているのが見えました。後を追って飛び出て、ニッコリ笑って、翼のように両腕を広げて、叫びました。「鳥のように飛ぶんだ、いい子だ、鳥のように飛んじゃおう」 ジュディスは両腕を広げ、僕と同じように飛び始めて、ニッコリ笑いました。ジュディスに飛びながら近づきました。十分に近づくと、ジュディスを引き寄せて、「こんなふうに飛ぶのって、そんなに悪くないね? 楽しいね。さあ、片方の腕は広げて、僕も片方は広げておくよ。どこにたどり着けるのか見えるよ」 「パパ、私の後、追ってこなくったってよかったのに、わかってるでしょ?」 「お前を一人っきりで外には行かせられないよ。心配いらないよ。こんなふうにして飛び続けてりゃ、大丈夫だよ。陸地の上まで来たら、地面にもっともっと体を近づけりゃいいんだ」

(僕たちが乗ってた)飛行機は、今はもう、見えませんでした。他の飛行機は見えましたが、違う方に飛んで行きました。でも僕がどんなに一杯手を振ったとしても、どの飛行機も僕たちのために飛行コースを変えるようには思えませんでした。晴れた日、青い空、雲一つなく、太陽はとても速く動いていました。ジュディスは下を指さして「何あれ?」って言いました。「腕は上げとかなきゃ。飛び続けなきゃいけないんだから」 「やってるわよ。でも、あれ、何?」 「船みたいだけど、多分、錯覚だよ」 「錯覚って?」 「言葉の説明してる場合じゃないんだよ。お家に帰ったら、ジックリと説明するから。とりあえず今は、飛ぶのを楽しも。突然の気流の変化がないことを祈ろうよ」 もう一方の腕でジュディスをきつく抱きしめていました。顔をジュディスの顔に押しつけました。そんなふうにして飛びながら、ほっぺとほっぺをくっつけ、片方の腕を広げながら、動かさないようにしていました。安全に着地するのに役立ついい考えをまだ思いついていなかったので、心配でした。どうやって高度を下げればいいのか、どうやってスムーズに着地すればいいのか、あるいは、足の骨を折らないで不時着すればいいのか? 必要なら、ジュディスの両足を持ち上げて、僕の足だけを折っちゃおう。「パパ、大好きよ。好き、大好きよ、これからもずっと。結婚なんかして、家から出てったりなんか絶対にしないから」 「ああそうかい、いつかは結婚して、出てくかもね。だからといってそうしてほしいってわけじゃないんだよ。僕の方こそ、好きだよ。いい子だね、大好きだよ。こんなふうに一緒にいられてうれしいよ。でも、内緒だよ、実はね――飛行機の中でほんの一瞬だけど、お前の後を追って飛び出さなくってもって、何でか、ためらっちゃって、思ったんだよ。今は、僕がやったことに、この上なく満足してるけどね」



p44-45

海から離れ、崖の上空に来て、それから風向きが変わって、海岸に沿って北に運ばれていました。長い間、海面と地面からほぼ同じ距離だけ上空にいて、まだ、着地の方法がまったくわかりませんでした。急に、妻が海岸の道に沿って車を走らせているのが目にとまりました。息子のダニエルは、そよ風を感じるために窓から手を突き出しながら、助手席にいました。飛行機が、機外に放り出された2人について報告したにちがいありません。妻のシルヴィアが知らせを受けて、すぐに車に乗って、僕たちを探し始めたのです。僕なら空中でうまく対処できてるだろう、風が僕たち2人を東に運ぶだろうと考えてのことだったのでしょう。

「2人をご覧よ、ジュディス。ママとダニエルだよ。パパ、腕を中に入れとかなきゃ。危ないことやってるよな」 「周りには他に車なんていないんだから、手を出してても大丈夫よ」 「でも、万一、混雑した高速で忘れてて、手を出しちゃう場合に備えて、それって、いつだって守らなきゃダメな規則だよ。それに、車は突然、反対側に来ることだってあるんだから。こうした車の少ない道じゃ、狂ったように運転する危ない奴もいるんだから。もし1台がダニエルに近づきすぎたら、腕は引きちぎられちゃうよ」 「でも、車が来るにしても、反対側じゃない?  だって、ママの側でしょ。ダニエルの方じゃないもの」 「いいだろう、でもね、ママたちと同じ方向に走ってる車の運転手が、突然、ぶっ飛んじゃって、右側から追い越しかけて来て、ダニエルの腕に近づきすぎちゃうことだってあるんだ――ダニエル、今すぐ、腕を引っ込めなさい。パパからの命令だぞ」 ダニエルの腕は中に戻されました。シルヴィアは車を止め、外に出て、見上げて、こう叫びました。「あなた、そこにいるのね。すぐに戻ってらっしゃい、あなた。死んじゃうわよ」 「ママが僕たちのこと心配してるのを見てごらんよ、ジュディス。素敵だね、そうだろう? ――心配いらないよ、シルヴィア。僕たち、大丈夫だよ。飛んでるだけだよ。



p46

こんな気分はこの世では味わえないよ。2人ともカンペキ安全だよ。下がってく方法、見つけたら、そうするよ。下がってて、不時着しなきゃいけなくっても、ジュディスのことは心配しなくっていいよ――僕が抱きかかえて、着地の衝撃は全部、僕がかぶるから。でも、着地は、内陸にしても海岸にしても、ここからはまだ少し距離があると思うから、ママはもう家に帰っていいよ。ひょっとすると、夕食には間に合うかもしれないから。でも、今の風の吹き方じゃ、ママは僕たちについて来れないんだし、僕にはスピードを落とす方法がわからないんだから」 「あなた、ホントに大丈夫なの?」 「もうママの声、ほとんど聞こえないよ。でも、うん、すべてはコントロールできてると思うよ」

僕たちは飛び続けました。ジュディスを腕に抱いて、何かジュディスが心配するのを止めるものがあるとすれば、キスだろうと思って、繰り返しジュディスのほっぺにキスしました。 「パパ、ホントに、何も心配しなくっていいの? ――その~、ママにさっき言ったことよ」 「何やってんの? 僕の気持ちを読んでるの? うん、何もかも大丈夫だよ。確かだよ」 2人とも片方の手を広げながら、僕たちは飛び続けました。そして、夜が来るまでには、まだ地面にまったく近づいてもいないし、遠ざかっているわけでもありませんでした。